MRコラム


マーケティングリサーチ(MR)に関するコラムです。

業務で感じたことや日常の中での気づき、ふと思いついたことを、マーケティングリサーチや統計の視点から考察しています。


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第2号 2026年6月8日

 

マーケティングリサーチで「未来」は創れるのか? 直感との正しい関係

 

「消費者にほしいものを聞いても意味がない」

 

マーケティングの世界で幾度となく繰り返されてきたこの言葉には、決して無視できない真実が含まれています。

 

実際、マーケティングリサーチや統計調査は、本質的に「過去と現在」を記述するためのものです。

既存の行動や認識を分析することには長けていても、「未だ存在しない価値」を直接的に発見することは、その仕組み上、どうしても苦手としています。

 

アンケート調査で「何がほしいか」を問えば、返ってくるのは「もっと便利に」「もっと安く」「もっと速く」といった、既存の延長線上にある改善要望ばかりです。

人は誰しも「今、知っている世界」を基準にしか判断できないからです。

本当に革新的な価値は、登場する前には言語化さえ難しく、時には市場から「誰が使うのか」と懐疑的に見られることさえあります。

 

では、マーケティングリサーチは、新しい未来を創る際に無力なのでしょうか?

 

答えは「否」です。

 

マーケティングリサーチを軽視して、未来を創ろうとすれば、その多くは独りよがりな空想に終わります。

どんなに優れた直感やビジョンも、社会という現実の中で機能しなければ、価値を生むことはできないからです。

 

マーケティングリサーチの真の価値は、未来を予言することではありません。それは「消費者の意識と、彼らが抱える現実とのズレ」を可視化することにあります。

 

私たちは往々にして、自らの思い込みで市場を眺めがちです。

しかし、正しくマーケティングリサーチを活用すれば、想定していたストーリーとは異なる「生身の人間」の姿が浮かび上がります。

 

「優れたアイデアなのに、なぜユーザーが離反するのか?」

「開発者が『便利だ』と信じる機能に、消費者はどんな摩擦を感じているのか?」

「ユーザーは製品を実際にどう使いこなし、どんな創造的な工夫を凝らしているのか?」

 

マーケティングリサーチから見えるのは、こうした「人間の複雑な現実」です。私たちはマーケティングリサーチを使うことで、自らの直感やビジョンを「独りよがりな幻想」から「社会に求められるソリューション」へと磨き上げることができるのです。

 

既存事業の改善には、分析、計数管理、効率化、オペレーションといった力が不可欠です。

一方で、ゼロから新しい価値を創造する際には、直感やビジョン、思い入れ、執念といった人間的な要素が決定打となります。

 

未来はマーケティングリサーチだけでも創れませんが、マーケティングリサーチを無視しても成立しません。

 

「ゼロから描き出す創造性」と「現実を映し出すマーケティングリサーチ」。

この二つは決して対立するものではありません。

新しい価値を社会へとつなぎ、確かな根を張らせるための両輪なのです。

 

未来を創ろうとする時、マーケティングリサーチは答えをくれるものではありません。直感と社会の現実を突き合わせて考えるための方法にすぎないのです。

だからこそ、直感と社会の現実をともに活用することが、未来の創造に必要なのです。