第3号 2026年6月20日

 

「みんなが言っている」は本当に正しいのか? マーケティングリサーチから考える思い込みの問題

 

世の中には、多くの人が「当然」と思っていることがあります。

しかし、よく調べてみると、その認識が必ずしも事実や根拠と一致しているとは限りません。

 

ここで重要なのは、「人は間違える」という単純な話ではありません。

 

本当に重要なのは、

 

「自分は思い込みや感情に引っ張られていないか?」

 

を自分自身で点検できるかどうかです。

 

これはマーケティングリサーチにおいても、非常に重要な視点です。

 

マーケティングリサーチを行っていると、人は必ずしも「事実」だけで判断していないことがよくわかります。

 

例えば、

 

「天然だから安全」

「昔からあるから安心」

「みんな使っているから大丈夫」

「なんとなく不自然だから怖い」

 

といった感覚です。

 

もちろん、こうした印象自体を否定するわけではありません。

しかし、それは事実や根拠に基づく判断とは別に考える必要があります。

 

人は

 

・分かりやすい説明

・感情的に納得しやすい話

・周囲と共有しやすい価値観

 

に引っ張られやすいものです。

 

つまり、人の意思決定は「論理」だけでなく、「印象」や「空気」に大きく左右されることも多いのです。

 

アンケート調査でも同様です。

例えば、「〇%の人が不安を感じている」という結果が出たとしても、

 

・なぜ不安なのか

・何を誤解しているのか

・どのような情報に影響されたのか

・本当に理解した上での回答なのか

 

までは、数字だけでは分かりません。

 

統計は数字を示すことはできますが、「理解の質」までは自動的に教えてくれないのです。

 

ここを読み違えると、「声の大きい空気」を、そのまま「市場の真実」と誤認してしまいます。

 

例えば、消費者が「不安」と答えたとしても、それが正しい知識や情報に基づく判断なのか、単なる印象なのかで意味は大きく変わります。

 

しかし、実際には「多数派の意見」であるというだけで、あたかも「正しい認識」であるかのように扱われることも少なくありません。

 

マーケティングリサーチで本当に重要なのは、単なる賛成・反対や多い・少ないではありません。

 

重要なのは、

 

「なぜ、その認識が形成されたのか」

 

を理解することです。

 

人は誰でも、感情や先入観、所属する集団の価値観に影響されます。

だからこそ、自分の認識を客観視できるかどうかが重要になります。

 

数字を見るだけでは、本当の市場は見えてきません。

消費者の回答だけでなく、その背後にある「思考のクセ」や「認知の構造」まで読み解くことが重要になります。

そこにこそ、マーケティングリサーチの本当の価値があるのではないでしょうか。